オーバーローンが引き起こす不動産投資のリスク
「いまや私はマンション10戸の2億円の資産家ですよ」
不動産投資の仕事をしていると、資産が何億円あると自慢する方に出会うことがあります。でも、よく実情を聞いてみると、負債の方が多く、低金利時代とはいえ、毎月の金利負担も大変で、このままではやがてローン破綻に行き着くだろうと思うことがあります。
資産がいくらあっても、負債がそれよりもずっと多ければ、不動産投資では間違いなく要注意です。
その多くはオーバーローン、借り過ぎが原因です。
任意売却物件は基本的に不動産投資で失敗したために生まれた投資物件ですが、物件そのものに投資商品として問題がある以外にも、投資家本人に問題がある場合も少なくないと感じます。
例えば、前にもお話ししましたが、不動産投資物件を電話営業だけで買ってしまう方がいますが、こういう個人投資家の方は、営業マンの勧めるままにどんどん物件を増やしていきます。
もちろん、物件が増えていくことは、不動産投資では成功への道を意味しますが、問題は増やすスピードです。物件を急激に増やせば、それだけ負債も急激に膨らみますので、ローン返済が追いつかなくなります。
そこに、金利の変動や空室の長期化などの条件が揃えば、返済計画はたちどころに停滞することになりかねません。
また、最近はキャッシュバック狙いの個人投資家の方もいます。
投資物件の販売価格をもとに、金融機関からローンで融資を受けますが、販売価格の値引きをすることで投資家に現金を手にいれさせるやり方です。
こうしたキャッシュバックに魅力を感じて次々と物件を購入する投資家の方がいて、なかには10件ぐらい購入するという方もいます。でも、当然、金利負担も毎月の返済額も増えていきますので、投資運営が苦しくなるのは目に見えています。
任意売却投資の基本は長期・安定・計画的が基本ですから、急激に投資物件を増やすことは、どんなに資産家と呼ばれるようになっても、私はお勧めできません。
購入の考え方のひとつとして、年収が急激にアップするような人は、節税対策のためにも投資を検討されてはいかがでしょうか。
次は
コラム5-2 その1
です。
(2016年7月11日発行 不動産投資は”未公開の「任意売却物件」を狙いなさい! より抜粋)