価格上昇と家賃据え置きのジレンマで物件は都心から郊外へ
今、大都市圏の人気エリアの不動産価格が上昇していることはすでにお伝えしました。
1980年代のバブル景気や2007年のミニバブル以来、いやそれ以上に上昇しているとも言われています。
大都市圏での不動産価格は、少なくとも2020年の東京オリンピック前までは高止まりの状態が続き、開催後は急落すると予想する不動産関係者はいます。その反面、2012年のロンドンオリンピックでは、開催後に一部の地域の不動産価格が上昇した例もあり、我が国の大都市圏の中でも東京の不動産価格は上昇するという意見もあります。
近年の不動産価格上昇の主な要因は、東京オリンピックの建設需要と2011年の東日本大震災の復興需要により、資材費と人件費が高騰したことにあります。これまでの景気動向から考えれば、不動産価格が上昇すれば賃貸マンションなどの家賃もつられて上昇するはずですが、今回は少し様子が違うようです。
政府が推進する2%の物価上昇がいまもって達成できず、20年にわたって続いてきたデフレ経済からなかなか抜け出られない状態が続いています。賃金も期待したほど上昇しないため、賃貸マンションの家賃相場も上げることができません。
投資不動産の物件価格は急上昇しても家賃を上げることができないという、不動産投資は今まさにジレンマに陥っているのです。
このため、不動産投資会社によっては、投資家から資金を集めて少しでも利益を出そうとするところもあります。そうなると毎月のキャッシュフローはマイナスになりますが、それでも任意売却物件の取引は活況を呈しています。
ただ、任意売却物件に限らず、不動産投資用の都心の優良物件も価格が上昇していますので、都心の優良物件が出ても価格が高いため、不動産投資の利回り収支が合わなくなってきています。
このため任意売却投資も、最近の物件の中心は都心から郊外へ移ってきていることを実感しています。
次は
コラム3-2 その2
です。
(2016年7月11日発行 不動産投資は”未公開の「任意売却物件」を狙いなさい! より抜粋)